感謝することができました。』
以前から、海、野生のイルカとドルフィンスイムが好きで、オーストラリアでイルカ介在療法(ドルフィンセラピー)を学ぶために来豪しました。また、オーストラリアには波のある海、シュノーケルが楽しめる穏やかな海やダイビングで有名なきれいな海など色々な種類の海に囲まれているので、それらにとても魅力を感じオーストラリアを選びました。
今回、ピッキングに初挑戦したのですが、ピッキングへ行こうと決意した一番の理由は、旅の途中で以前から興味のあった小学校英語教師の資格をこの国で取りたいと思い、資金作りのために行きました。更にオーストラリアで仕事をするなら、是非とも日本では経験できない仕事に就きたいと思い、ピッキングの仕事を選びました。ピッキングの情報は、エミクのピッキングセミナーに参加させて頂き、得ることができました。とても親切で具体的に教えていただけたのでわかりやすかったです。他には、友人からの体験談、インターネットやフリーペーパーなどの情報誌から情報収集しました。
ピッキングの場所は、仕事探しのために一時シドニーのYHAに滞在していました。施設内の掲示板で求人情報をチェックし、仕事を斡旋してくれるバックパッカーの広告を見つけ直接電話をしました。
私が向かったのは、ビクトリア州のMildura(ミルデュラ)の近くにあるRed Cliffs(レッドクリフス)です。ここはオレンジをはじめとする柑橘類、ブドウ(主にワインの生産)の産地として有名な土地です。一年中仕事はあるようですが、私が滞在した6月~9月は冬の時期でそれほど仕事量に恵まれていないようでした。
私が滞在したバックパッカーには、就業を希望するそれぞれの宿泊者に対して仕事の斡旋を担当する人がいました。まず宿に到着してからその担当者に、自分がどんな仕事に就けるか個人的に話し合いをしなくてはなりませんでした。私の場合、到着してからの1週間は歩合制のファームジョブをしました。内訳は、2日間マンダリンピッキングで$75/1binで2人ずつのペアでピッキングをしました。要領も体力も足らず結局2日で1と1/4ビンしか取れず、1人分の手取りは2日間でだいたい$47くらいでした。
残りの5日間は、pulling out job(ブドウ園にてブドウの木の枯れた枝をひたすら引き抜く作業)をしました。これは全身を使う仕事で女性のみならず男性にも厳しいと評判の仕事でした。お給料は0.35¢/1本で、私の平均はだいたい100本くらいでした。女性はほとんどリタイヤしてしまうのでどのくらいが平均か比較はできませんが、体力に自信のある体の大きいヨーロピアンの方は私の5倍以上引き抜いている人もいました。
それから時給制の仕事を紹介してもらえて、オレンジパッキングの倉庫で月から金8時から17時まで働かせていただきました。厳密にいうと分給27¢で、時給にすると約$17(before tax)でしたが、天候やオレンジの集荷量によって就業時間が不規則に左右されましたので、1週間の手取りは$400~$600でした。職場までの移動は、同じ仕事をする人たちと一緒にバンで移動しました。たまにtransportation fee (交通費)を徴収する宿もあるようですが、私の宿は無料でした。
まや、週末や空き時間を使ってフリーアコモデーションをしました。バックパッカーのお掃除、キッチンハンド、ウエイトレス(バックパッカーの一階がパブでしたので)などをお手伝いさせていただいたので、宿代の$120/weekは無料になりました。時々時給$12を支給していただくこともありました。それらに併せて場所が田舎だったので、お金もあまり使わずに学費分はは十分に貯蓄、節約することができました。
歩合制の仕事をしているときは、まとめてバックパッカーから木曜日締めの金曜日払いの週払い手渡しでした。時給制の仕事をしているときは、水曜日締め木曜日払いの週払いで、勤めている倉庫から銀行振込かチェックでした。これは個人でどちらか選べるので、私は銀行振込で支給していただきました。
ピッキングに対して描いていた想像と実際とでは、知人などから季節労働の宿泊先たいがい汚い、不便であるとか、肉体労働は大変疲れるといったマイナスな意見をよく耳にしていたので、相当覚悟して行った分、実際は逆に自分が色々と案じていたより全体的によかったと思います。確かに宿が古かったり、不便なところもたくさんありましたが、個人的にはそれほど予想を裏切られることはなかったです。
ピッキングを終了し、働く事の意義やお金の大切さなどを改めて痛感しました。あまり頭を使わない単純な労働内容ですが、シンプルだからこそ仕事のしくみというものがよく見え、そういったことを全て考え直すいい機会でした。働いてお金をもらうことに対して慎重に考え直し、健康で仕事ができることの素晴らしさに感謝することができました。
ピッキングを行う上で、特に気を付けていたい点は、体を使う仕事なので健康管理にはよく注意しました。特に水分補給、防寒、睡眠時間などに気をつけました。滞在していた約3月間、バックパッカーには通常60~100人くらいのワーホリメーカーたちがが滞在しているにもかかわらず、宿にも職場にも日本人は私一人だったので英語力が伸びました。地球の裏側から来た人と同じ屋根の下での共同生活はとても刺激的で、緊張感のある毎日は”生きている”という実感がしました。文化の違いを自分の目で確かめ身近で感じることが出来て、改めて国際理解を考えさせられたり、日本のことを思い直したりしました。それから同じ喜びや痛みをシェアできる友達もできたり、自立心が培われたり、多少苦しかったり不便なこともありましたが、行ってよかった点の方が断然大きいと思います。
ピッキングのみならず何事もひとそれぞれ体力や能力には個人差があると思いますので、乗り越えるには多少の忍耐が必要だとは思いますが、他と比べてそれを基準にしてばかりでなく、心身的に楽しめる余裕を残しながらあまり無理しないで自分が出来る範囲内で頑張ってほしいと思います。
お金を稼ぐのが主な目的である人には、具体的に(お給料、仕事の入手方法など)よく調べてから行かれた方がいいと思います。少しでも興味があって迷っているのなら、とにかく行ってみる事をおすすめします。
辛い事もあるかと思いますが、きっとオーストラリアのよい経験になると思います。頑張ってください!
三浦有紀子さん