大谷洋史さん

 

義肢装具士としてアデレードで
ご活躍されている大谷さんをご紹介します!

お仕事を通して感じたオーストラリアと日本の違い、
日常生活についてお話しくださいました。

 

Q1.お名前とお住まいを教えてください。

大谷洋史(オオタニヒロシ)と申します。現在、私は南オーストラリア州のアデレードに住んでいます。

 

Q2. アデレードではどんなお仕事をされてきましたか(過去、現在も含めて)

「義肢装具士:Prosthetist & Orthotist」としてアデレードにあるWomen’s & Children’s Hospitalで勤務しています。義肢装具士という仕事は病気や事故などで手足を無くされた方のために、その部分を補う義足や義手、そして身体に障がいを持つ方のためにその機能障害を軽減する装具を適合・製作をしています。今の勤務先は子供の病院なので障がいを持ったお子様のために装具などを作っています。

 

Q3. お仕事をされていて一番印象に残っている嬉しかった出来事は何ですか。エピソードを教えてください。

ケガなどが無事に回復し、その患者さんにもう装具を必要としなくなる時が一番嬉しい出来事です。中でも一番印象に残っているのは、交通事故によって脊髄を損傷してしまった患者さんのことを覚えています。彼はその脊髄損傷により今後の生活で車椅子が必要不可欠のものになりました。でも彼はその現実を受け入れることが難しかったかもしれません。そこで医師や理学療法士とともにリハビリのプランを考えて、平行棒内だけの歩行訓練ではなく、ビデオゲームを使って運動訓練をしたり、彼の好きなロックバンドの音楽を大音量で流しながら訓練をしたり、身体面のリハビリだけではなく、心理的なモチベーションを上げるためにいろいろ工夫をしました。そして彼が退院をするときは、最初の頃は見られなかった元気で明るい笑顔を見ることができました。また退院後は車椅子バスケットボールに挑戦し、パラリンピックのオーストラリア代表にエントリーされるかもしれないと聞きました。2020年に行われる東京パラリンピックで彼の勇姿が見られることを楽しみにしています。

 

Q4. オーストラリアへ来られたきっかけ、アデレードでお仕事をされるようになったきっかけを教えて下さい。

高校生の時に短期留学でシドニーに訪れたとき、そこで見た雲一つない青空とキレイな海の色、それと日本では見られないいろんな国の人たちが共に生活をしている雰囲気に感動して、将来こんなところで生活ができたらいいなぁと漠然と考えていました。日本では義肢装具士として数年間日本の製作会社に勤務していましたが、この経験を活かし海外でも挑戦したいと思い、メルボルンにあるラトローブ大学の義肢装具専攻科に編入しました。そしてラトローブ大学を卒業し、オーストラリアにある義肢装具製作施設や病院にレジュメを送ったところ、アデレードの子供病院での就職が決まりました。日本でも小児の義肢装具はほとんど経験がなく不安はありましたが、やってみたいという気持ちが強かったので挑戦することに決めました。

 

Q5. 日本でお仕事をされるのと、オーストラリアでされるのとではどのような違いがありますか。

患者さんを診たり、病院で働くことは日本もオーストラリアもそれほど変わらないように思います。でも仕事の勤務時間などは違いがあり、オーストラリアでは残業が無く、有給休暇も年間で4週間近く使うこともできます。ただ4週間も休むと仕事の感覚が鈍ってしまい、なかなか職場に戻れません(笑)

 

 Q6. 仕事する上でオーストラリアの魅力は何ですか。

「とりあえずやってみろ!」、「お前に任せる!」とはっきりと言ってくれるところです。日本ではモノづくりの職場では師匠から技を教えていただいたり、盗んだりして、時間をかけて自分の技術を高めていきますが、オーストラリアでは初めての事だろうが、経験が少ない事でもとりあえず「自分の考え通りにやりなさい」と次々と仕事を任されます。でもミスをしたらそれも自分の責任なので大きなプレッシャーがかかりますが、自分の判断したことが間違っていなければ、高く評価してくれるところがオーストラリア人の気質だと思います。

 

Q7. お休みの日は何をして過ごされますか。

休みの日はよく釣りに出かけます。アデレード市内から車で45分のところにポートノーランガというとってもキレイな海があるので、そこで半日ぐらいイカ釣りをしています。また自分の家から数十分行ったところにMt.Loftyという山があり、標高720mで1時間30分ぐらいのブッシュウォーキングを楽しむことができます。歩いていると野生のコアラやカンガルーに出会えていい気分転換になります。

 

Q8. 生活をする上でオーストラリアの魅力は何ですか / またはアデレードの魅力は何ですか

オーストラリアの魅力はお酒が美味しいです。特にアデレードはオーストラリアで最古のワイン産地のバロッサバレーがあります。そこには約150ヵ所のワイナリーがあるそうです。それにアデレードの市街地から車で30分ぐらい行ったところにマクラーレンベールというワイン産地もあるので、週末とか特に予定が無ければ、「暇だなぁ、ワインでも飲みに行く?」という感じで気軽に友人と一緒にワインテイスティングに行けます。もしワインが苦手でもアデレードにはCoopersという南オーストラリア州を代表するビール工場があるので、ビールでも楽しむことができます。

 

Q9. オーストラリアでお気に入りの場所、お勧めのスポットを教えて頂けますか。

「Baird Bay:ベアードベイ」という場所がお気に入りです。南オーストラリア州のポートリンカーンというマグロで有名な町から西へ(ストリーキーベイに向かって)車で250㎞(約3時間)行ったところにあります。そこでは野生のアシカとイルカと一緒にシュノーケリングで泳ぐことができます。彼らはとってもフレンドリーで2時間ぐらい一緒に遊んだのですが、あっという間に時間が過ぎてしまいました。本当にここでしか味わえない貴重な経験が得られます。ただBaird Bayは地図にもあまり載っていないところで、交通機関もありません。行かれる時はしっかり計画をたてて行かれたほうがいいと思います。

 

Q10. 夢、目標は何ですか?

オーストラリアでは義肢装具士という仕事が不足しています。現在約350人の資格保持者が勤務していますが、オーストラリア政府としては700人ぐらいまで増やしたいそうです。日本では現在4000人以上の義肢装具士がいますが、もしその中に海外で挑戦してみたいという方がいれば、オーストラリアでスムーズに働けるように日本とオーストラリアの架け橋になりたいと思っています。

 

Q11. オーストラリアで生活を始める皆様、生活をしていらっしゃる皆様へメッセージをお願い致します。

オーストラリアで生活をされる方の中で「永住」を考えられている人もいらっしゃると思います。永住ビザの中にはシドニーなどの人口の多い大都市では使えなくても、小規模の都市で適応される永住ビザもあります。そしてその都市で人手が不足している職業を見つけて、そこからスポンサーを得られれば永住ビザを取得できる場合があります。地方都市の就職活動状況なども積極的に集めてみると永住ビザを得られるチャンスが増えると思います。

 

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